番外編 海底広域研究船かいめい

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函館貧乏観光 番外編 第7弾

海底広域研究船 かいめい


2017年7月12日函館港西埠頭にて、海底広域研究船「かいめい」の一般公開が行われました。

海底広域研究船 かいめい

海底広域研究船「かいめい」は日本の周辺海域の海底資源や海底下構造等の調査研究、海洋観測を行う多機能研究船。また、この船は洋上ラボ機能も有し、海底から採取したものを陸の研究施設に持ち帰らなくても、その場ですぐに解析できるという特長がある。

海底広域研究船 かいめい
平成27年6月7日、三菱重工下関造船所にて佳子内親王殿下の支綱御切断で進水しました。
船体の「かいめい」の文字は当時の下村博文文部科学大臣の揮毫です。

<「かいめい」スペック>
 総トン数  5,747トン
 全長  100.5m
 幅  20.5m
 喫水  6.0m
 出力 4,800kw (6,400hp) 
 主機関 発電機4基、 推進電動機2基
 推進器 アジマススラスタ2基 バウスラスタ2基 
 定員  65名(乗組員27名、研究者等38名)
 航海速力  12.0ノット
 航続距離  約9,000海里
建造費  207億円 

海底広域研究船 かいめい

 
JAMSTECってなに?
「JAMSTEC」とは「Japan Agency for Marin-Earth Science and Technology」、国立研究開発法人海洋研究開発機構の略称で、文部科学省所管の国立研究開発法人です。
広大な海を研究船、調査船や無人探査機を使って調査・研究をする機関です。
「ちきゅう」や「しんかい6500」とか有名ですよね。

海底広域研究船 かいめい
船尾斜め後ろから。ごついクレーンを複数装備した無骨な外観。こいつ・・・できる!感がハンパない。

海底広域研究船 かいめい それでは乗船します。
こういう特殊な船を観るのは初めてです。
わくわくします。
 海底広域研究船 かいめい タラップを上り、順路矢印に従い進みます。
 海底広域研究船 かいめい 最初に現れたのは広くて綺麗な食堂。

「かいめい」はビュッフェ形式でご飯、みそ汁やサイドメニューは各自が好きな分だけ取り分けて食べることができます。メインのおかずは一人当たりの量or個数が決まっているようです。

さらに進みます。
 海底広域研究船 かいめい 食堂を出ると、研究員用の個室が現れます。
中を覗くと冷蔵庫やベットがあります。

ベット上の毛布に注目。飾り毛布があります。
他の部屋にも飾り毛布があって、色々なバリエーションがあるようです。
これはまさに毛布を使った芸術作品。
(以下の写真でご覧下さい)

 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
「菊水」 「兜」
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
「二枚貝」 「孔雀」
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
個室を後にさらに進みます。 階段を上がります。
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
なんか人がたくさんいるぞ。ガヤガヤしてます。 ここはブリッジですね。なんという盛況ぶりでしょう。
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
神棚があります。航海の安全を祈ります。 ブリッジから見た景色。

海底広域研究船 かいめい
それでは操作コンソールを見てみます。近未来的な操作パネルがCOOL。

 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
スラスタ操作部
昇降旋回式バウスラスタ(左)
トンネル式バウスラスタ(右)
 レーダーパネル
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
アジマス推進操作部 DPS操作部
(DPS:ダイナミック・ポジショニング・システム)
海上でアジマス推進器やバウスラスタを用いて、船舶を定位置に保つ自動定点保持装置。
 
海底広域研究船 かいめい

 海底広域研究船 かいめい

海底広域研究船 かいめい

 海底広域研究船 かいめい 「アジマス推進器」は5台のギアを使って、360度回転できます。船尾左右についていて、それぞれ独立した動きが可能。通常航海のほか、自動定点保持装置作動時に使用します。
 海底広域研究船 かいめい
「昇降旋回式バウスラスタ」も360度回転します。通常航海時は船内に格納された状態。自動定点保持装置作動時に船外に降下させて使用。
 海底広域研究船 かいめい
「トンネル式バウスラスタ」で横方向の推進力を確保。
主に接岸時に使用しますが、定点保持の時も使用。

上記の3つにより、海上において潮流や風に流されず定点・針路保持が可能となり、
優れた操船性能を発揮。調査精度の向上と作業の効率化に大きく寄与している。


 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
ブリッジ隣の部屋(第1研究室)に来ました。 ここは主に音響機器のオペレーションを行う場所です。
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
無線LANで船内どこにいてもタブレット端末を使用して情報を効率的に利用・処理できます。 船上三成分磁力計(地磁気の三成分を観測するシステム)と気象観測装置。
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
ここからは一旦外に出ます。 横を見ると黒いミサイルのようなものが!
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
ちょっと階段を降ります。 ミサイル?横に来ました。実は、これはフロート(曳航している探査用ケーブルを左右に展開するもの)だそうです。子供たちは「ミサイルだ!」と言ってはしゃいでいるようですが。
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
さらに降ります。 なんじゃこりゃ?
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
CTD鋼線ウインチ(固定型)
CTD採取装置、船直多層式ネット(VMPS)、多段開閉式プランクトンネット等の投入・揚収に用いる。
CTDとは海水の塩分、水温、圧力(深度)の観測装置。ケーブルにつないで海水中に投下します。
CTDウインチ(固定型)
CTD採水装置の投入・揚収に用いられる。
「繊維強化ケーブルを樹脂被覆しているため、深度10,000mを超える海中から、クリーンな採取・計測が可能」(説明書きより)

階段を下りて、下の階層に行きます。

 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
整備室を通過して 第3研究室に来ました。
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
海底地震計 このちょっとお洒落な物体はなに?
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
海洋敷設型地震探査装置OBS2G-S
ロープまたは海中ロボットで高密度に敷設し、地殻構造を高精度に観測できる。
北海道北西沖の海底下の断面図。
これは函館に来る前の期間(6/22から7/10)に調査したものです。
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
第2研究室 地震探査システム操作をする部屋。
ここは入口からみるだけで、中には入ることが出来ませんでした。トレーディングルームみたい。
滅多に見ることができない特殊研究船を見学できて、とても有意義な時間を過ごすことができました。感謝しながら下船します。
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
記念にグッズ売り場にて、「しんかい6500」のストラップを購入して帰ります。
価格は216円(税込)
フィギュア製作は海洋堂。フィギュアサイズは
全長45mm、高さ 21mm、幅 14mm(ひも部分は含まず)
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
有人潜水調査船しんかい6500
最大潜航深度はその名のとおり6500m。
乗員数3名(パイロット2名、研究者1名)、コクピットはチタン合金でできています。
実物のサイズは
全長9.7m、幅2.8m、高さ4.1m、耐圧殻内径?2.0m
 海底広域研究船 かいめい  海底広域研究船 かいめい
最大速力2.7ノット
 通常潜航時間8時間
底面もしっかり作り込まれています。
これで216円は安い!

最後に・・・
日本の国土面積は世界61位(38万km2)ですが、領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた「海の広さ」はなんと世界6位(447万km2)です。未開発の広大な海底にはたくさんの石油、天然ガス、希少金属が眠っている可能性を秘めています。また、地震大国である我が国にとって、海底地殻構造の探査・研究がより一層進めば、巨大地震のメカニズム解明に役立つかもしれません。今後、海の謎を解明するために最新鋭研究船「かいめい」が大いに力を発揮してくれることになるでしょう。

海底広域研究船 かいめい

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